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vol.

016

MARCH
2017

vol.016 / 往復書簡

小谷実由(モデル)× 土岐麻子(歌手)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

1

第 1 通 小谷実由→土岐麻子

2017.03.08

土岐せんせい。こんにちは。とってもお久しぶりです。
小谷実由、歯痒さの残る25歳です。BGMは『トーキョー・ドライブ』です。
往復書簡、やったことありますか? 宮本輝の『錦繍』という往復書簡形式の小説が私はとても好きなのですが、それを読んでから往復書簡にとっても憧れがありました。こんなにも便利な現代、どこにいても一瞬でメッセージが送れてしまう世の中で、こんなにも待つという時間にドキドキ胸をときめかすことがあっていいんでしょうか、ティーンの恋に匹敵する狂おしさです。

最近、東京について質問されることが多いです。2020年に向けてたくさんの人が東京という場所を再び考えているのでしょう。なんだか陽(よう)な気持ちになる光景です。私は東京・下町育ちです。東京って本当に何が起こるかわからない街だと思います。10代の頃、原宿や渋谷が圧倒的にキラキラした存在で、明日にはスターになっていたらどうしよう!なんてあらぬ妄想をしながら歩いていた青春時代があります。でも、実際にいまも抱えている夢を実現させてくれようとしているのは、この街。きっとこれからも私にいろんなことを起こしてくれる街だと思っています。東京には人がたくさん集まっている。たくさんの人がすれ違っていったら、そりゃ夢みたいなことも起きるような気がしますね。良い街です。

土岐せんせいってこのやりとりをしている間は呼ばせてください。私は大人になったら土岐せんせいみたいな女性になりたいとずっと思っています。この往復書簡が終わる頃には一緒にカレーを食べに行きたいですね。

  • 小谷実由

    ファッション誌やカタログ・広告を中心にモデルや執筆業で活躍。一方で、様々な作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。昭和と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。