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vol.

012

MARCH
2016

vol.012 / ピックアップ情報

この春、見逃せないアーツカウンシル東京のプログラム!

INTERVIEW
林家花 外国人向け伝統文化・芸能体験プログラム「紙切り(演芸)」講師

国籍を超えて誰もが楽しめる伝統芸能

写真:藤田慎一郎

紙切りで生まれるコミュニケーション

「紙切り」とは、一説には江戸時代に生まれたといわれ、トークをしながら、動物や縁起物などいろいろなもののシルエットを1枚の紙から切り出す伝統芸能です。普段、私たち紙切り芸人が寄席やパーティーなどで披露しているこの芸を、外国人の方にも体験してもらおうというのが本プログラムです。はさみを使ったことがありさえすれば初心者でも楽しめるところは、紙切りの魅力のひとつです。

毎回のプログラムでは、まず私がデモンストレーションとして、舞妓さんのシルエットを切って披露します。そのあと参加者に、ひよこやウサギ、亀といった簡単なお題から好きなものを選んでもらい、紙切りを体験していただきます。これまでに、アジアや北米、ヨーロッパなど様々な地域の方々が参加してくださいました。子供も大人も夢中になっているのを見ると私もうれしくなります。

レクチャーをするうえで心がけているのは、なるべく通訳の方を介さずに会話をすること。英語はまだまだ勉強中ですが、つたなくても直接お話ししたほうが気持ちが伝わりますし、参加者も喜んでくれる気がするんです。紙切りは型紙を使ったり下描きをしたりしないので、できあがりの形にも個性があらわれます。それぞれの作品を見せ合いながらおしゃべりをしたり、笑い合ったり。紙切りを通じて国籍を超えたコミュニケーションが生まれるのって、すばらしいことですよね。私自身も、いろいろな人と交流できることがとても楽しいんです。

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、グローバル化が進んでいるのでしょうか。最近は、パーティーなどでの公演で、海外からのお客さまをお見受けすることが多くなってきました。今後はますます、国内外に向けて紙切り芸を発信できるチャンスが増えていくはずです。

現在、日本で寄席に出ている紙切り芸人は5名程度。女性は私ひとりだけです。大切に受け継がれてきた伝統芸能をより多くの人に伝えていけるように、女性ならではの細やかさを生かしながら、紙切りの技術と話術、そして英語のスキルを磨いていきたいと思います。

林家花
紙切り芸人。1995年に林家今丸に入門し、前座修行を終えて2008年9月中席より高座出演。公益社団法人落語芸術協会所属。寄席史上初で唯一の女性の紙切り芸人。

外国人向け伝統文化・芸能体験プログラム

外国人旅行者などを対象に、本格的な日本の伝統文化・芸能を気軽に楽しめる無料のプログラムで、英語の解説付きです。3月末までは「演芸」「日本舞踊」「長唄三味線」を開催。4月以降の開催情報は、公式ウェブサイト(http://www.tokyo-tradition.jp)をご確認ください。

演芸

紙を切り抜いて形をつくる「紙切り」や、傘回しなどの「曲芸」、日本古来のマジック「和妻」。今も人気を集める演芸の技を、プロの手本とともに体験できます。

日程/2016年3月末までの毎週土曜日
会場/東京都江戸東京博物館

日本舞踊

浴衣を着て簡単な日本舞踊の振りを体験したあと、日本舞踊「藤娘」の一部を鑑賞します。最後にみんなで写真撮影もできます。

日程/2016年3月末までの毎週日曜日(ただし3月13日を除く)
会場/浅草文化観光センター

長唄三味線

歌舞伎音楽として発祥し、三味線音楽として発展した長唄。プロによる演奏と解説で長唄に親しんでいただきながら、三味線の演奏を体験できます。

日程/2016年3月12日(土)・13日(日)
会場/浅草文化観光センター

「和妻」の様子
写真:鈴木穣蔵

編集・執筆:平林理奈 / Playce