vol.
014
SEPTEMBER
2016
vol.014 / 特集
東京記録
Record No. 002:楽曲のタイトル
ドイツ語やフィンランド語、スペイン語などの言語では、東京は「TOKYO」ではなく「TOKIO」という音訳で表されることがあります。その「TOKIO」がタイトルについた曲で、特に有名なのが沢田研二の「TOKIO」。1979年11月25日にリリースした同名のアルバムから、1980年1月1日にシングルカットされて発売されました。のちにバブル経済期を迎える80年代の華々しさを先取りしたかのような、電飾やパラシュートをまとった派手な衣装も話題になりました。
地方から東京にやってきたアーティストが歌う「東京」もまた、様々な表情をもっています。例えば京都出身の岸田繁(くるり)や山形出身の峯田和伸(銀杏BOYZ)、大阪出身の谷口鮪(KANA-BOON)は、自身のバンドで「東京」という楽曲を作詞・作曲。若者を中心に人気を集めました。一方で青森出身の吉幾三が作詞・作曲も手がけた「俺ら東京さ行ぐだ」など、上京ソングも味わい深いもの。東京は夢をかなえる場所であり、華やかさの象徴。その一方で、寂しさを感じたり、ふるさとを想う気持ちが日々生まれている、ドラマチックな場所なのです。
集計データのうち、46曲が「東京音頭」! 盆踊りの定番であるこの楽曲は、「丸の内音頭」というタイトルの盆踊りの曲がもとになっています。1930年代初頭、丸の内界隈の飲食店の店主たちが、地域の景気を活性化させるためにビクターに依頼して制作。1932年、日比谷公園で開かれた「丸の内音頭踊り」で初めて披露されました。そして翌年、タイトルと歌詞を変え「東京音頭」として発売。2015年には岡村靖幸が民謡歌手の木津茂里と組んだ『東京音頭-TOKYO RHYTHM』を発表するなど、時代を超えて親しまれている1曲です。
総曲数4,827曲のなかで、「洋楽」に分類されている楽曲は269曲。イギリスのロックバンド、ディープ・パープルのアルバム『紫の肖像』に収録されている「ウーマン・フロム・トーキョー」や、ボン・ジョヴィの「TOKYO ROAD」などがあります。古来から海外の文化も積極的に取り入れて育ってきた日本。その首都・東京は、時に海外の人にとって遠い異国や異文化のシンボルになるのかもしれません。これらの曲で、数え切れないほどある世界の都市のなかで東京がテーマに選ばれているわけを探ってみるのもおもしろそうです。
編集・執筆:Playce