TOKYO PAPER for Culture トーキョーペーパー フォー カルチャー

MENU

vol.

014

SEPTEMBER
2016

vol.014 / 往復書簡

伊賀大介(スタイリスト) × 戌井昭人(作家/鉄割)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

4

第 4 通 戌井昭人→伊賀大介

2016.11.02

伊賀くんへ。寒くなってきて、風邪っぽくなり、かつ丼食って、豚肉ミネラルたくわえて書いてます。「身体が弱ってるのにかつ丼なんて」とかよく言われますが、風邪の時こそ重たいものが食いたくなります。伊賀くんは風邪のとき何食べる?
そんで、電話をしながら、ニヤニヤしている人っていいですよね。こっちもニヤついてしまいます。でも最近、怒ってる人も多くないですか、この前、水道橋付近を歩いてたら、今風の若者に、いきなり「おりゃ〜」と叫ばれました。その人のワイシャツに英語でデカデカと「ライフ・イズ・ビューティフル」という文字がプリントされいて、それを読んだら、叫ばれたのです。でも、別に笑ったわけでもなくて、「平和なメッセージだな」と思っていたんだけど。その若者は、ちょっと頭がぶっ飛んでる感じで、すれ違った後も、いろんな人に向かって叫んでたから、ちょっと恐かったです。都会はどこに危険がひそんでるかわかりませんね。そこで、スタイリスト伊賀くんに訊きたいのだけど、ワイシャツにプリントってどうなの? また服に書いてあるメッセージって、やっぱ大切にして欲しいですよね。そのときは、「ライフ・イズ・ビューティフル」に裏切られた感じがしました。「スクリーミング」とかだったら良かったのに、でも余計に怖いか。
思案は、あのスカイラインなんですね。自分も何回か乗せてもらってる。車で一緒に三軒茶屋に飲みに行って、伊賀くんは、酒を飲むから代行車を頼んだんだ。都会で代行を頼むなんてイカしてるなと思いました。あいかわらず代行は頼んでますか?
あと最近、西新宿をぷらぷらすることがあって、ここら辺は伊賀くんの地元だなと思ってました。あそこら辺で、おすすめ場所あったら教えてください。ちなみに自分の父も新宿区出身で、余丁町の方で、やっぱ新宿って、ごちゃごちゃして良いですね。なんだかまとまりがない、あの感じが良い。
自分、家だと酒は飲まないんです。別に決めてるわけではないのだけど、何年か前に、中古でステレオセットを揃えたとき、ウィスキーなんぞを飲みながらレコードでも聴こうと思ったけれど、いまだにそのウィスキーが残ってます。だから飲みながら書くこともありません。家で飲むとすぐ眠くなってしまうのです。
ジョイフル三ノ輪の餃子知ってる! 浅草に住んでいた頃、チャリンコで買いに行ってた。美味いよね。
フランキー堺は、自分も、この前、何度目かの「幕末太陽傳」を観て、やっぱ良いなと思った。そして、わたしは小沢昭一推しです。なんだかいろいろ詰め込み書簡になっちゃったんで、ここら辺で止めます。というか、書簡してると、あれも、これも喋りたいってなってしまうので、やっぱ今度、会いましょう。

  • 戌井昭人

    1971年、東京世田谷生まれ、調布育ち。変テコなパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」で、脚本書いたり出演したり。小説を書いています。『すっぽん心中』(新潮社)で川端康成文学賞をいただきました。『俳優・亀岡拓次』が映画になりました。今後も、いろいろ書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。