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vol.

015

DECEMBER
2016

vol.015 / 往復書簡

植本一子(写真家)× 尾崎世界観(音楽家/クリープハイプ)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

1

第 1 通 植本一子→尾崎世界観

2016.12.07

尾崎君、お久し振りです。メールでやりとりするのも滅多にないのに、往復書簡なんて(しかも公開で)ちょっと緊張します。短い間ですが、どうぞよろしくお願いします。

新宿の神社の酉の市に行ってきました。酉の市、知ってますか? 毎年この時期になると、決まった日に熊手を買いに行くのです。酉の市って、私は東京に出てきて知りました。尾崎君は下町出身だから、馴染みがあるのかな? 私は自分の撮影スタジオを作った年から買い始めたんだけど、商売を大きくするのと一緒で、毎年熊手のサイズを大きくしていくのが習わしなんだって。でもこれ以上大きいと持って帰るのが恥ずかしいのと、スタジオの玄関に飾りきれないので、去年と同じサイズを今年も買いました。熊手についている大入り袋の口は、開けておくとお金が入ってくるっていう意味もあるみたい。

買い方があって、お店の人に熊手の代金と一緒に「ご祝儀です」と言っていくらか渡すんだ。サイズを大きくしない代わりに、ご祝儀を増やして渡してるよ。このやり方は私のスタジオの下の珈琲屋の店長さんに教わったんだけど、なんか粋よね。

熊手を買うと最後に、お店の人が威勢良く手締めをしてくれるんだけど、それがもういつも恥ずかしくて。でも、今年も一年頑張ったなあって清々しい気持ちになります。
ゲン担ぎだけど、尾崎君はそういうの何かやってますか?
すぐ年末がくるね。また飲みましょう。
身体には気をつけてね。

  • 植本一子

    1984年、広島生まれ。2003年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞。下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。2017年1月末に著書『家族最後の日』(太田出版)が発売予定。