TOKYO PAPER for Culture トーキョーペーパー フォー カルチャー

MENU

vol.

015

DECEMBER
2016

vol.015 / 往復書簡

植本一子(写真家)× 尾崎世界観(音楽家/クリープハイプ)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

2

第 2 通 尾崎世界観→植本一子

2016.12.14

いきなり、書き始めでつまずいています。植本一子をなんと呼ぼう。「植本さん」というのもなんか距離があるし、「植本」というのもなんか偉そうだ。

そうなると、植本一子が1番落ち着く。当たり前だけど、あなたは凄く植本一子っぽいよね。写真を撮る時に被写体にテキパキと指示を出す所が「植」っぽい。会話をしていると中身を見透かされているようで怖くなる所は「本」っぽい。何より撮る写真が「一」っぽい。欲望に対して驚くほど素直な所は「子」っぽい。生き方と名前が合っている。そう考えたら俺は、尾崎世界観っぽいですか? そもそも本名ではないけれど。

熊手は買った事ないなぁ。銀行ATMの手数料に納得出来ず、毎回腹を立てている自分に、ちゃんとご祝儀を渡せるのか不安です。熊手と言えば、最近マタギとか熊の生態について調べていて、凄く面白い。

ゲン担ぎも特にしていなくて、逆にライブの本番前に、不幸な事を集めて安心したりしてるよ。ステージに持って行く不幸の数が多ければ多い程、良いライブが出来るような気がして。不幸を、銀のエンゼルみたいに思ってるのかもしれない。

プロフィールを見て知ったけど、来年また本出すんだね。もうすっかり作家じゃないか。写真はどうしたんだ。これじゃあ、どっちが本業かわからないじゃないか。

 
 

俺もか。

  • 尾崎世界観

    4人組バンド、クリープハイプのボーカル・ギター。2012年メジャーデビュー。2016年6月に初執筆の小説『祐介』(文藝春秋)を発売。現在、4thアルバム『世界観』が発売中。