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vol.

015

DECEMBER
2016

vol.015 / 往復書簡

植本一子(写真家)× 尾崎世界観(音楽家/クリープハイプ)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

5

第 5 通 植本一子→尾崎世界観

2017.01.18

年が明けたね。

年末はフェスで久しぶりにクリープハイプのライブを観れました。フェスって、私が高校生の頃は夏の風物詩という感じだったけど、今では年中やってるね。あまり行ったことがなかったので、ものすごい人の数にびっくりしました。みんな同じ格好でライブを見るんだね。私も高校生の頃はバンドTシャツ買ってたなぁ、としみじみ。人が多いところは苦手だけど、おかげで楽しい年末を過ごせました。

人が多いといえば、我々の事務所もある下北沢は、いつも人が多いし、相変わらず工事が続いてるね。まだ改札が2階にあった頃を覚えてる? 線路が地下にもぐって5年経ってないはずだけど、本当に大昔のように感じます。あの古いホームと改札が好きだったな。開かずの踏み切りも良い思い出。
私は特に下北沢に縁があった気がする。バイトもしていたし、友達もたくさん住んでいたり。東京に出て来て13年、そんなに「好き」と思ったことはないのに、いつのまにか慣れ親しんだ街になってしまった。ホームっていうとなんか恥ずかしいけど、もはやそうなのかもしれないなぁ。事務所なんか構えちゃって、もういよいよ離れられない。でもそんな場所があるのはホッとするね。あの改札があった頃、私はまだ何者でもなかった。今もそうかもしれないけど。
尾崎くんはあの頃、どんな人生を過ごしてましたか?

もうすぐ春だね。また街が未来ある若者でごった返すよ。
暖かくなったら会いましょう。

またね!

  • 植本一子

    1984年、広島生まれ。2003年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞。下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。2017年1月末に著書『家族最後の日』(太田出版)が発売予定。