vol.
016
MARCH
2017
vol.016 / 往復書簡
小谷実由(モデル)× 土岐麻子(歌手)
東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり
2017.03.15
みゆちゃんからのメッセージを受け取って、ふいに文通のレターセットの紙のにおいを思い出しました。
小学生の頃、遠くに引っ越した友達が送ってくれる手紙からは、知らない町のにおいがする気がしました。友達のほうは、私の便箋からなつかしい東京のにおいを感じていたかもしれません。
この街の人混みのなかに夢を感じる気持ち、私も分かる!
青信号のスランブル交差点はいろんな縁がすれ違っているような気になるし、そしてそのなかにポツンと紛れていると、良い意味で自分がなんでもなく感じて、「もっと大胆に、好きに生きてもいいんだ!」なんて思って、ワクワクします。
ずっと変わらない、こういうエネルギーが大好きです。
寂しいなと思うところもあります。
お店がつぶれてまた出来て、道が広くなって、駅が潜って、東京の顔はどんどん変わっていきます。帰省すればいつも山や祠や田んぼが変わらずに出迎えてくれる、そういうアイデンティティの象徴のような故郷を持つ人を羨ましく思うものです。
みゆちゃんは下町出身なんですね! 東京のなかでも揺るがない街の姿を持っているようなイメージがあります。
みゆちゃんが過ごした町のにおいや音や味って、どんなものでしたか? いまも変わりませんか?
ちなみに私が育った代々木上原は、路地の湯気に混ざったシャンプーのにおいと、布団をたたく音、小学生のローラースケートが波打つアルファルトにゴロゴロいう音、揚げあんぱんという、天ぷらにしたあんぱんの味などなど…
つい20年くらい前まではけっこう素朴な町でした。
この往復書簡でちょこっとずつお互いをプロファイリングし合いましょう。 ……一緒にカレーを食べに行く日まで!