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vol.

016

MARCH
2017

vol.016 / 往復書簡

小谷実由(モデル)× 土岐麻子(歌手)

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

3

第 3 通 小谷実由→土岐麻子

2017.03.22

土岐せんせい。今日は久しぶりの雨です。しとしと降る雨を家から眺めるのは至高ですが、出掛ける予定があるとなんとも冷たくて憂鬱。早く暖かくなってほしいものですね。初夏のぼわっとした熱気の中の雨が恋しいです。

私が過ごした街の音やにおいは、少し土岐せんせいと似ています。小学生の頃、商店街の中にある家に住んでいたことがあって、いつも外からは八百屋さんの威勢の良い声、お肉屋さんのコロッケの香り。朝早く目が覚めた時は窓からちょうど見えるお豆腐屋さんがもう開店準備を始めているのかなぁなんて確認したり。この商店街は空気をいまでも定期的に思い返してしまう、変わらずに残っていて欲しい大切な場所です。

いまタクシーに乗りました。次の仕事の現場に向かいながら手紙を綴っています。子供の頃憧れた、ひらりと手をあげてタクシーを止めて颯爽と乗り込むということは出来ず、おーいおーいと手を振りながらタクシーを止めて、どうもこんにちは~お願いします~なんて言いながら、よいしょと乗り込んでしまうのが現実なんですが、こうやって仕事をしながら、東京を駆け回っていろんな場所を知って、そんな中で出会った人に手紙を綴る。なんだかロマンチックだなと思います。

土岐せんせいは、子供の頃の理想と大人になってからの現実、どうでしょうか、こんなはずじゃなかった!なんてことありますか? ミニ土岐せんせいはどんな理想の女性像を胸に毎日を過ごしていたんだろうと気になります。

ちなみに私は大人になったら代官山のおしゃれなマンションに住んで、ウォークインクローゼットで毎日ファッションショーをすると思っていました。少女の想像力は無限大です。
そんな私の今年の目標は1つ買ったら1つ手放す!です。とほほ

  • 小谷実由

    ファッション誌やカタログ・広告を中心にモデルや執筆業で活躍。一方で、様々な作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。昭和と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。

次回更新は3月29日を予定しています