TOKYO PAPER for Culture トーキョーペーパー フォー カルチャー

MENU

vol.

013

JULY
2016

vol.013 / 往復書簡

平井理央 × 速水健朗

東京を舞台に、日々の想いを交換するふたり

1

第 1 通 平井理央→速水健朗

2016.07.27

先月、4年ぶりにツアーをされた小沢健二さんの東京公演に行ってまいりました。
中学1年から高校にかけて、いや、私が人生でハマった、ただ1人のマイ・アイドル、それが小沢健二さんでした。中学のとき、なんとか手に入れた横浜アリーナのライブに1,000円の小さな花束を持って出かけたり、部屋に半畳くらいあるポスターを2枚貼ったり、長野の野外フェスに出演すると知って、両親に頼んで連れて行ってもらったり、思い返すと少し恥ずかしいくらいのファンぶりでした。
彼が、ニューヨークに拠点を移し、あまり情報が入ってこなくなり、少しずつその熱は冷めていったものの、たまに「好きなアーティストは?」という質問だったり、「初めて買ったCDは?」という問いに答える度に、甘い痺れのような熱を胸に感じていました。
そんな小沢健二さんの久々のライブに行くチャンスに恵まれ、中学時代にタイムスリップしたような胸の高まりと共に、台場のZepp DiverCityへ。2時間に渡るライブは、過去の名曲と共に、新曲が7曲も披露されました。恋愛や情熱を歌っていたあの頃から、子供への愛や世界への想いを歌う新曲に、時の流れを感じ、ホームグラウンドである東京で歌っているのに、新曲の歌詞を含めて、どこか旅人の様な佇まいに、心揺さぶられました。
そして、会場から出ると、そこには、私が7年半働いていたフジテレビが、煌煌とライトアップされていて、中学生と社会人の自分が会ってしまったような不思議な感覚を覚えたのでした。
速水さんは「マイ・アイドル」って、いらっしゃいますか?

  • 平井理央

    1982年11月15日、東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、2005年フジテレビ入社。「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックなど国際大会の現地中継等、スポーツ報道に携わる。2013年より、フリーで活動中。趣味はカメラとランニング。著書に『楽しく、走る。』(新潮社)がある。